映画「岸辺の旅」を観て

数年前に失踪し、旅先で死んだ夫と、妻が旅をする、という荒唐無稽なストーリー。
しかし、がっつり引き込まれた。

失踪中の足取りを妻と巡りながら、壊れた夫婦関係を再生していくある種のロードムービーの体をなしている。
2人の会話からして、夫が生前の夫婦関係はあまり良好ではなかったようだ。
この旅を通し、この上なく幸せな時間をふたりは過ごすのだが、そんな時間も限りがある。
なにせ夫はすでに死んでいるのだから。

いつくかのエピソード中、むちゃホラーチックな演出もある。
鑑賞後、監督を確認したところ、なるほど黒沢清の作品だった。
背筋がざわっとする演出だった。

ホラーではないのだが、あるエピソードで蒼井優が登場するあたりも、かなり戦慄を感じるものがあった。
彼女は死んだ夫の愛人。
役としてハマりすぎ(^^;;

生と死の狭間を感じさせながら、ベースは夫婦再生の物語。
鑑賞後、いろいろ考えさせられた作品だった。

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