ヴェニスの商人 (映画 )
2007年5月2日
「16世紀のヴェニス。
そこの住むユダヤ人は、日中は外出を許されるものの赤い帽子を被らされ、夜はゲットーに隔離されていた。
彼らの多くは高利貸しを営み、ヴェニスの住人たちに多額の金を貸し与えていた。
青年バサーニオは、大富豪の娘ポーシャに求婚しようとしていた。
そのための資金を友人のアントーニオに借りようとしたが、自らの商船を渡航させたばかりの彼にはパサーニオに貸せる金がなかった。
そこで悪名高いユダヤ人高利貸しシャイロックに、金を借りに行くのだが…。」
『一滴の血も流すことなく肉を切り落とせ』と言う有名な裁判シーンしか知らなかった「ヴェニスの商人」。
やっとのその全貌を知ることができた。
シェークスピアの戯曲の中でこの話は喜劇になるらしい。
喜劇か…う〜ん、なんだかすっきりしない話だ。
単に、性悪高利貸しが最後に痛い目に遭う、と言うだけなら、日本むかし話にもよくある勧善懲悪話で済むんだろうが。
その高利貸しがユダヤ人と来ている。
また、アル・パチーノ演じるシャイロックは、この映画ではそんなに憎むべき悪者として描かれてなかったし、ラストの悲壮な姿に逆に同情してしまうぐらいだった。
もっと釈然としなかったのは、法学者に変装し、シャイロックを裁く一方、婚約者であるパサーニオを欺くポーシャの行動。
一体何様のつもり?と思ってしまうぐらいの悪女ぶり。
演出によって喜劇に仕上がるであろうストーリーだが、この映画ではヨーロッパで連綿と続く民族的いじめと、女性の性悪ぶりばかりが印象に残った。
映画としてはなかなかのできだが、後味はイマイチ。
ポーシャを演じた女優さん。
ポーシャを演じている時より、法学者に変装した時の方がコケティッシュで可愛かったかも(^-^)。