映画「わたしを離さないで」を観て

「わたしを離さないで」・・・コテコテのラブストーリーを想像させるタイトルですが、全然ちがいます。
カテゴライズしにくい作品だけど、あえて言うならSFかな。
久々に心にズシーンときた。
鑑賞後、呆然としてしまい、何もする気が起きなかった。
ただテーマが重いだけではなく、この映画は映像がむちゃ素晴らしい。
淡い色調で映し出されるヨーロッパの田園風景が、主人公たちの哀しく絶望的な運命を一層際立たせていた。

主人公たちはクローン人間。
オリジナルの人間のために、臓器を提供するためのだけの存在。
クローン人間の命ある限り、延々と臓器提供の手術が繰り返される。
一回目の手術で命尽きる者もいれば、四回以上の手術に耐える者もいる。
主人公の一人であるルースは、三回目の手術で命尽きる。
手術ののち、まるで臓器の”入れ物”だけのように扱われるシーンが衝撃的だった。

時代設定は1950年代。
近未来的な題材の舞台をあえて過去に置くことでリアリティさを演出したのだろう。
派手なハリウッド映画なら、反旗を翻し、運命に抗うところだろうが、この作品の主人公はただ”終了”の日を待つのみ。

命が軽々しく扱われている事件が散見される昨今、この作品が単なる絵空事とは思えなかった。

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