映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を観て
題名から察するにスパイ映画?と想像しそうだが、スパイは一切出てこない。ストーリーは、 ベトナム戦争に関わるアメリカ政府の機密文書を、スクープとして掲載した地方紙ワシントン・ポストのお話。
ベトナム戦争映画はいろいろ観てたが、戦場外でこんなことがあったとは初めて知った。 冷戦真っ只中の時代、東に勝つことが至上命題だったとはいえ、数々の悪行を彼の国は行っていたようだ。 また、戦争突入以前から、ベトナムを舞台とした駆け引きが行われた。ここらへんも、この映画で初めて知った史実。パレスチナ、アフガン、中東・・・大国というものは、小国を食い物にすることしか考えていないのだろう。
ある意味、このスクープをきっかけにベトナム戦争終結に向けた潮流ができたのだろう。まさに、ペンは強し、の好例といい。
このようなスクープを掲載したワシントン・ポスト、さぞツワモノ揃いの新聞社なのだろう、と思いそうだが、そうではなかったのが、この作品の面白いところ。
トップは女性で、時代的に業界、経済界から軽んじられている状態。当の本人も、亡き夫からたまたま引き継いだということもあり、自分にはそぐわないと感じながら、勤めをこなしているよう。また、ちょうど株式公開したばかりの時期で、 あまり目立ったことはしたくない。そんな様々な葛藤を乗り越え、発行にこぎつけるあたり、この映画の見どころとなっている。ここらへん、さすが監督スピルバーグ、うまく仕上げているなぁ、と思った。
ウォーターゲート事件を示唆するシーンで映画は終わる。次のアメリカ史へ、とつなぐ終わり方になるほど、と膝を打った。が、あとで調べてみると、この ウォーターゲート 事件をスクープしたのも、この映画で描かれたワシントン・ポスト紙だったらしく、ここでもなるほどと膝を打つ。
ニクソン時代の当時、なにやらトランプ政権にダブルところが・・・そういう思いも監督はこの映画に込めたのだろう。