「検証チャレンジャー爆発事故」を観て (雑記 )
先日、NHK BS-1でやっていた「BS世界のドキュメンタリー『検証チャレンジャー爆発事故・明らかになる舞台裏の攻防』」を観た。
組織ぐるみの隠蔽や偽装は世界共通。
そんな組織に振り回される現場もまた被害者。
1986年1月28日に打ち上げられたスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故は、設計ミスが原因だったらしい。
ミスがあったのは、スペースシャトルの両脇に取り付けられた円筒状のブースター。
このブースターを製造したメーカは、そのミスを自社エンジニアから指摘されながらも、それをNASAには報告しなかった。
…安全より利益優先か。
設計ミスの根本原因は、ブースターを一体構造ではなく、複数のリングを組み合わせた構造にしたことにある。
一体構造のブースターを設計したメーカーもあったが、NASAは輸送コストを極力抑えられる組み合わせ構造のブースターを選択した。
…安全より予算優先か。
スペースシャトルは、このブースターばかりでなく、あらゆる点で欠陥品だったようだ。
しかし、NASAはこれを根本から解決しようとはしなかった。
現場の人間は多発するトラブルの応急処置に日々奔走していた。
一度走り出した巨大プロジェクトをリセットすることは、確かに指南の技である。
…安全より体面優先。
事故当時、σ(^^)は高校生。
「とんねるずのオールナイトニッポン」を聴いてる最中に知ったのを今でも覚えている。
寝ぼけなまこだったこともあり、とんえるずのネタなのか、事実なのか分からずウトウト聴いていたのだが、翌朝のニュースで事実であることを知った。
朝のテレビには、順調に飛行していたチャレンジャーが突然火に包まれ、空中分解したオービターが海に落下する映像が流されていた。
両サイドのブースターは、打ち上げるべき主を失い、縦横無尽に空を駆け巡っていた。
9.11の自爆テロの映像も衝撃的だったが、これがσ(^^)が初めて衝撃を受けたテレビ映像だったと思う。
あれから20年。
スペースシャトルのプロジェクトは未だ続いており、先週もディスカバリー号が打ち上げられたばかり。
チャレンジャー号の事故で、誰も罪を問われることがなかった。
裏で様々な力が働いたのだろう。
問題のブースターを製造したメーカも健在で、当時の上層部も定年まで勤めたらしい。
が一方で、ブースターの設計ミスを事故前から訴え続けたエンジニアは、職場での居場所がなくなり、事故後まもなく退職した。
なんとも理不尽な話だ。
自分が同じ立場になった時、どう行動するだろう…。