月のひつじ (映画 )
年末年始、HDDレコーダに溜まっていた映画をいくつか消化したので、立て続けに感想文などを書き連ねたいと思います。
まず初めは、2000年公開のオーストラリア映画「月のひつじ」。
オーストラリア映画と言えば、「マッドマックス」、「クロコダイル・ダンディー」などのワイルドな作品を思い浮かべがち。
さて、今回の作品は?
「人類初の月面着陸に向け、アポロ11号が発射された。
NASAは月面着陸の瞬間を世界に生中継する計画を立てる。
アポロからの映像を捉えるためには、巨大なパラボラアンテナを持つ電波観測基地が必要となるが、打ち上げスケジュールの変更により、アメリカの電波観測基地では受信できない。
そこで、オーストラリアの田舎町パークスにある天文台に白羽の矢が立つのだが…。」
「月のひつじ」というタイトルですが、ひつじが登場するのは1カットぐらい。
原題の「The Dish」は、劇中に登場するパラボラアンテナの愛称。
さすがに「The Dish」じゃ、オーストラリアの人ならまだしも、日本人には何のことか分からないので邦題をひねり出した、ってとこでしょうか。
思いとしては、主な産業が牧羊しかない田舎町で行われたアポロプロジェクト、ということなんでしょうが、ちょっとイマイチ。
アポロ計画と言えば、表に出てくるのはアームストロング船長などの飛行士や、当時のNASA職員。
この映画ででてくるのは、そんな脚光を浴びことのない、プロジェクトの末端で従事した技術者たちの話。
まさにプロジェクトXの世界(笑)
でも、血の滲むような努力とか、涙なしでは見られません、って言うのは一切なし。
とにかく、任された役目を果たす、ただそれだけの話。
でも、そんな当たり前の姿でも、登場する技術者たちが神々しく見えた。
アポロ計画のような人類的な偉業ばかりでなく他の様々なプロジェクトには、スポットが当たるわけではないけど地味ながらこうやってプロジェクトを支えてる人たちがいるんだよなぁ、ってつくづく感じさせられた。
この映画には悪い人は全く出てこない。
作品に流れるのんびりした時間。
かと言って、見てるものを飽きさせない展開。
世知がない世の中、一時の清涼剤となる映画でした。
ところで、劇中、技術者たちがパラボラアンテナに乗り、世間話をしたり、クリケットをしたりしてたけど、アレって良いのかなぁ?
アンテナにも良くないだろうし、人体的にも悪そう…(^^;)
でも、アンテナの上で技術者たちが胸中を語り合うシーンがまた良いんだよなぁ。