今宵、フィッツジェラルド劇場で (映画 )
2008年3月20日
「ミネソタ州はフィッツジェラルド劇場。
長年、人気ラジオショー「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の公開中継ホールとして親しまれてきた同劇場は、今夜番組の最終回とともにその幕を閉じる。
開演前、出演者たちが次々と楽屋入りする。
閉館を惜しむ者、閉館を決めたスポンサー企業を怨む者、そしていつものと変わらぬ者、そこには様々な表情があった。
そして、司会者ギャリソン・キーラーのいつもの名調子で番組はスタートしたのだが…。」
いや〜、久々に出ました、これはkuni評五つ星級の作品です!
雨の夜、舗道の水だまりに映るのはダイナーのネオン…このオープンから名作の予感。
要は、ラストステージを向かえた劇場の楽屋裏でのお話。
2時間弱の作品の舞台は、この劇場内だけだから、話の流れはいたって緩やか。
この緩さがなんともいえない。
緩いと言っても、登場人物はその人生の大半をこの劇場とともに過ごしてきたような人ばかり。
醸し出される人生の深さが、作品にじわりと深みを持たせています。
出演者同士ややこしくて、そして温かい大きな家族のような存在。
劇場の閉館に対し、抵抗してふんばると言うわけでもなく、自分達の持ち時間をいつもどおりにこなす。
劇場=自分達の潮時と感じての行為なのか、人生を積み重ねてきた人間ならではの潔い態度のような気がする。
こんな大人達に出会いたい、そしてこんな大人になりたい、そんなことを感じさせる名作だった。