2018年6月5日
児童書「二分間の冒険」を読んで
またまた岡田淳の著作。
でも、これまで読んできた著者の作品とは大きく異なっていた。
これまでの作品の舞台は学校、あるいは学校からちょっと異世界へ足を踏み入れる程度だった。
しかし、この「二分間の冒険」、学校は最初と最後に数ページ登場するのみで、全編ほぼ異世界。
竜が支配する異世界に迷い込んだ少年が、伝説の剣を振りかざし、この支配者を退治するというもの。
う~ん、なにかありがち。
でも、この異世界で描かれるプロットは意味深なものばかり。
仕事をしなくても竜があらゆるものを用意していくれるくだりは、ロボットやAIが進化した近未来を思わせ。
老人だけの世界は、高齢化社会の行く末を想起させた。
そして、ネタバレになってしまうが、自らが伝説の騎士だと信じ込ませ、無謀な戦いに挑ませるあたりは、自分探し、自己実現などと学生を扇動する就活ビジネスの様相である。
終盤、主人公は竜と戦う訳だが、剣で戦う前になぜかなぞなぞ合戦がある。
そういう儀式になっている。
ここらへん、児童書らしいところだが、やはり読み聞かせた息子が一番興奮した場面だ。
なんだろう?あれかな?こうかな?といった具合に。
これが大人も頭を捻らざるを得ない難問だったりする。
なぞなぞは竜との戦いの場面だけでなく、冒頭に主人公にかけられた、この物語のメインテーマともいうべき、なぞなぞがある。
「この世界で一番たしかなもの」
主人公は冒険の途上、その答えを模索し続ける。
最後に彼はその答えにたどり着くわけだが、哲学的な答えに「うまいっ!」と思わず膝を打ちそうになったが、息子には???。
納得がいかない様子だった(笑)